FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ペーパーウェイトアイ/原作 田沢孔治 作画 さかもと麻乃

 人形師と人形達ともう一人の人形師の漫画である。
 美しい乙女が迫害されるゴシックロマンでもあり、人形師がみずから創造した人形達に反逆され、幽閉される倒錯したホラーであり、隠されていた秘密が暴かれるミステリである。人形愛と分身(この二つは表裏一体である)が書かれたお話でもある。
 内気な女子大生であり、天才的な人形作家であるマリエは、カレルという謎めいた青年によって誘拐され、美しい西洋館に監禁される。
 牢獄と化した館に獄卒として存在していたのは、マリエ自身が創造した人形達だった。マリエを憎むもの、罵るもの、愛情を押し付けるもの、言動は様々だったがどの人形も敵だった。味方はマリエの最新作である少女人形マジェンカのみだった。ちなみにマジェンカとは、チェコ語でマリエの愛称である。
 久々にゴシックロマン、そして人形愛というテーマを堪能できた一冊。しかし1巻の巻末に記されている「幻想人形×洋館監禁サスペンス」という煽り文句はなにかが違うような気がする。
 暗く耽美的な物語。
 全二巻。