モノノ怪「海坊主」
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昨年からホラーアニメにはまっている。この『モノノ怪』は、『地獄少女』、『Another』、『屍鬼』を辿り、行きついた作品である。
絢爛豪華な、ときには過剰なほどの色彩を画面に放ちながら展開するホラーアニメで、独特の美学が横溢している。モノノ怪の現れるところに「薬売り」を名乗る美青年……時代が推移しても容姿が変わらないようだし、そもそも人間かどうかも分からないが……そこにいるモノノ怪の形(かたち)・真(まこと)・理(ことわり)の三つを知ったとき、彼は退魔の剣を抜く。
「座敷童」、「海坊主」、「のっぺらぼう」、「鵺」、「化け猫」の五作品があり、「化け猫」以外の四作品を見たが、三話構成のエピソードの「海坊主」が実に面白かにった。
江戸へと向かう客船「そらりす丸」に乗り込んだ薬売り、娘、商人、高僧とその弟子、侍、修験者たち。彼らは「竜の三角」と呼ばれる魔の海へと船ごと入ってしまい、様々な海のあやかしに襲われる。魚の頭部を持つ海坊主は琵琶を奏でつつ、「おまえが最も恐れるものは、何か」と、乗客の一人一人に訊ねる。その質問は乗客たちの封印してしまいたい過去や心の暗部を抉り出すのだ。
美しくも閉鎖的な空間に囚われた人々を怪異が襲うという設定が、当方の考えるゴシックホラーの条件の一つだが、この「海坊主」もそれに当てはまる。外は魔の海、「そらりす丸」より一歩の外に決して出ることができないという点では、どんな屋敷よりも閉鎖的な空間かもしれない。
この海域を魔物が跋扈する「竜の三角」に変えてしまったモノノ怪の真(まこと)は二転三転して容易に尻尾が掴めず、謎解きの面白さも感じさせる。
アクが強いが、傑作。
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