心霊玉手匣／岩澤 宏樹監督

心霊玉手匣 [DVD]

　これは怖いし、面白い。
　監督の岩澤宏樹は『ほんとにあった！呪いのビデオシリーズ』で名を上げた映像作家。
　異常な「もの」が映り込んでいるため、投稿されてきた複数の映像。一見なんらの関連もないような、その映像を追っていくうち、ある共通点が浮かび上がってきた。女性の影だ。
　若い男性たちの周囲に現れる白い女の影。その女と関わった若い男性たちは、あるものは死に、あるものは謎めいた失踪を遂げる。しかしその美しい女性は調査対象の地域に何十年と渡って現れるのだが、まったく年をとっていないように見える。あたかも人魚の肉を食べ、不老不死となった八百比丘尼のように。
　そのうち、この『心霊玉手匣』のスタッフは、ある彼女代行サービスのサイトに行きあたる。そこで働く一人の女性は、スタッフ達が追っている女にどこか似ていた。実際に、失踪した若者の一人は、このサイトを利用していたらしい。
　出色の出来は、話の中盤から登場する、ある人間で、その正体、その真意がなかなか分からず、見るものを悩ませてくる。ある人の正体と真意、特になぜ番組のスタッフにあのような態度を取ったのかには「ああ」と思わせる。
　秀作。
　あの人のあれはツンデレなんだろうか。そしてシリーズ次回作も登場するのだろうか。

心霊玉手匣 其の二 [DVD]