ダウントン・アビー
- 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
- 発売日: 2014/08/06
- メディア: DVD
- この商品を含むブログ (21件) を見る
イギリスのITVで制作されている歴史ドラマ『ダウントン・アビー』がとても面白かった。第一話「嵐の予感」と第二話「招かれざる客」を見ただけだが、これはずっと見続けることに決めた。
なんとも絢爛豪華なドラマ、しかものちに確実に訪れるだろう没落と激変が透けて見えているからこそ、より輝かしく見えるドラマである。
貴族階級、中産階級、そして使用人の階級の人々の起きるドラマは等分の重さを持って描かれ、貴族階級の人々は決して高慢なだけの人間ではないし、使用人達も貴族の人々の背景としてだけ存在している、無学で社会的地位の低い人々ではないのだ。
面白いところは、貴族階級と彼らにとって替わろうとしている中産階級の階級闘争のみならず、使用人の間での階級闘争を書いているところである。使用人の間にも、それぞれの職業によって階級意識があり、意地の張り合いもあれば、プライドのぶつかり合いもあるのだ。
貴族たちは領地と財産、爵位を防衛するために策を巡らし、使用人たちはボーア戦争の時代にダウントン・アビーの当主である伯爵の従者だったため、足に障害があるものの伯爵付きの従者として雇われた男性に嫉妬し、新たに屋敷と爵位の相続人となった青年弁護士は新たな生活に戸惑いと嫌悪感を覚えるのだ。
一九一二年。イギリスのイングランド南東部にあるカントリー・ハウス「ダウントン・アビー」。そこに暮らすのは、グランサム伯爵たるクローリー家の一族であり、そして広大な城の日常を支える、多数の使用人である。
タイタニック号沈没事件は、ダウントン・アビーで暮らす人々を大きく揺さぶった。長女メアリーの婚約者であり、親族でもある男性と、その父親……当主の伯爵にとってはいとこ……の生命が失われたのだ。これは「ダウントン・アビー」で暮らす貴族たちにとって、単なる身内の死を意味しているわけではなかった。男系男子の一人しか家督を相続できない当時の法律の下では、領地と財産、爵位を失うことを意味するのだ。(現代の日本人の勝手な考えかもしれないが、貴族としては家督を継ぐことのできない女性が、イギリスの王座に就くことは許されているのはとても奇妙な感じがする)
しかも新たな後継者となったのは、中流階級出身で、弁護士という職を持つ青年だった。そして彼は領地や屋敷にはなんの関心もなく、むしろ馬鹿らしいとさえ感じていた。
歴史ロマンスファン、そして英国文学ファンに強くお勧めできる作品。
傑作。
ロバート・アルトマン監督『ゴスフォード・パーク』をもう一度見たくなった。同じくイギリスの階級社会を皮肉に描いた映画の脚本を描いたのは、『ダウントン・アビー』において企画、脚本、製作総指揮を務めたジュリアン・フェロウズ。
- 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
- 発売日: 2012/05/09
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 1回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
↑ジョセフ・ロージー監督のこの作品は、英国の階級闘争と同性愛の頽廃的な世界を描いた作品。