FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

霧雨が降る森/星屑KRNKRN

 「星屑KRNKRN」さんが作られたフリーのホラーゲーム(http://nanos.jp/hskzkrnkrn/)、ようやくすべてのエンディングを見ることができたた。最近、西洋風の、あるいは舞台が西洋で、登場人物達も西洋人というホラーゲームばかりプレイしていたから、まったくの和風のこの作品は、とても新鮮だった。
 プレイヤーに与える純粋な恐怖という点では、音響の使い方が怖くてうまい「ブリキの時計」さんが作られた『クロエのレクイエム』(http://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/20140706)ほどではないが、話が面白い。ラブロマンスの要素もあり、小説や漫画、ドラマCDなど様々なメディアになっている、あるいはなると予定されているのもよく分かる。
 そしてこのホラーゲーム、私が大好きな「帰郷もの」である。帰ってはいけない土地に、帰ってはいけない人間が帰ってしまう。
 大学に入学したばかりのシオリは、事故で両親を失った。彼女は幼いときの記憶があまりなく、また両親も自分達の故郷について話したがらなかった。しかし葬儀のあと、部屋の整理をしているうちに、まったく覚えていない祖父の写真を見つけ、また故郷と思しき阿座河村(あざかわむら)という地名を知り、両親の面影を求めてその地に向かう。かつてシオリが暮らしていた家は、村に関する資料館となっており、口のきけない青年が管理人として暮らしていた。
 シオリは知らなかった。阿座河村がある惨劇を契機とした暗い歴史を背負っていることに。そしてシオリの帰郷を引き金として、再びなにかが動き出す。
 敵から逃げる場面はあるものの、不器用な当方にもクリアできた。嬉しい。
 秀作。

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