FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

五骨の刃/三津田信三

 他人の死相が視える死相学探偵シリーズ、四冊目。タイトルにはいつも漢字で数字が入っているが、その数字はシリーズの冊数とは決して一致しない。
 三作目『六蠱の軀』ではホラーとしての味わいがやや減じたように感じられ、少々物足らなかったが、『五骨の刃』では発生する連続殺人事件、使用される凶器を表す『五骨の刃』という言葉の持つ意味、そして「真犯人ならざる」誰かの言動といい、様々な恐怖が詰まっている。
 また新たにレギュラー(ヒロイン?)となるであろう人物も登場し、キャラクター小説としての側面も強まっている。
 半年前、五つの凶器が使われた、無残な連続殺人事件が発生した館<無辺館>。
 他人の死相が視える死相学探偵、弦矢俊一郎のもとに訪れた依頼人は、<無辺館>に忍び込んだ、怖いものが大好きな若い女性だった。そして、その顔にはくっきりと死相が現れていた。
 そして、<無辺館>の関係者から新たな死者が出る。
 殺人事件を解決するためのキーワード「カントク」には、なるほどと思ったものの、「人名としての菅徳代(かんとくよ)」にはずっこけた。なんとなく、白石晃士監督『口裂け女』(http://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/20090821)の脱力感あふれるキーワードを思い出した。
 シリーズ全体の黒幕の対決はまだ持越し。