FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ほんとうに映った!監死カメラ/市瀬 裕士監督

 「ほんとにあった!呪いのビデオ」シリーズの『THE MOVIE』の二作目及び劇場で公開された55作目がとても良かった(面白いうえ、怖かった)ので、千里の道も一歩から、ではないが、すでに「ほんとにあった!呪いのビデオ」シリーズも一作目から少しずつ見ていくことにした。
 同時に、他のオリジナルビデオのホラーシリーズに手を出すことにした。
 「ほんとにあった!呪いのビデオ」シリーズ以外で、初めて見たのがこの「ほんとうに映った!監死カメラ」シリーズの第一作だったのだが、ビギナーズラックというものなのか、このシリーズもまた当たりであった。
 九つの怪奇現象が収められている。
 交差点、バー、マンションのエレベーター、タクシー、商店、地下道など舞台はそれぞれ異なるものの、怪異を映し出す手段を監視カメラ一つに絞ったのは、アイディアの勝利だった。
 この媒体の特性として、ある場所、ある時間に起きた事件を、複数の角度から見ることができる(交差点、バー、タクシー)、もしくはある程度離れた場所の光景を一度に見ることができる(商店、地下道)、そこからおぞましい超常現象が浮かび上がってくるという手法が新鮮だった。
 超常現象そのもののあまり大袈裟ではなく、オーソドックスなものばかりだが、それがかえって良かった。日頃は温和なバーのマスターが、馴染みの客の一人をいきなり殴打し始める、店にあったカメラをよくよく検証してみると……の章がもっとも良かった。「はて、マスターは女性の霊に憑かれて狂ったのか、それとも出現した女性の霊になにかを打ち明けられて怒り、自分の意志で暴力に走ったのか」。
 秀作。
 現在シリーズ第七作まで作られているが、マンネリズムに陥っていないことを期待する。