FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

嵐の淵で/サンドラ・ブラウン

 触れた小説、映画に立て続けにマイナスの評価をしなければならないのは心苦しいが、この新刊、ロマンティックサスペンスの悪い面ばかりが目立つ作品で、サンドラ・ブラウンの著作の中でも、もっと面白いものは他にいくらでもあると思わせる。
 ちなみに悪い面とは、ヒロインを際出せるために他の女性の登場人物を貶めるように書く、サスペンスなのにサスペンス性がほとんど感じられない、犯人がばればれで、というところである。「回想の殺人」もので、好きな設定だし、好きな作者なので、大いに期待してのに残念だった。
 十八年前、ひどい嵐の日、姉のスーザンが殺害された。ベラミーは災害と殺人事件のトラウマを乗り越え、スーザン殺人事件をテーマに小説を書き、一躍有名人となった。
 しかし同時になにものかが、ベラミーの周囲をうろつくようになっていた。熱心なファンか、あるいは当時の事件の関係者なのか。そして当時のスーザンの恋人で、スーザン殺しの容疑者とされたデントと出会い、スーザンは急速に惹かれていく。
 サンドラ・ブラウンならば最高傑作『その腕に抱かれて』(以前の邦題は『フレンチ・シルク』)をはじめ、もっといいのがたくさんありますよ、と言いたくなるような作品。

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↑サンドラ・ブラウンの最高傑作であり、ロマンティックサスペンスの名作