クロユリ団地/中田秀夫監督
小説なり映画なりの感想を書くとき、もっとも困るのは下手な創作物ではない。
見終わった瞬間、「そうですか」としか言えず、なにか語りたいという衝動が湧いてこない創作物が一番困る、この『クロユリ団地』のように。
ものすごくつまらないわけではないが、しかしものすごく面白いわけでもない。多分半月もしたら、なにもかも内容を忘れていそうだ。ただ作中の「お姉ちゃんだって(年齢が)そんなに変わらないじゃないか」という台詞の本当の意味と、人気アイドルの男女を使っているのにも関わらず、強引なハッピーエンドにしなかった点は評価したい(結構えげつない終焉を迎えているし)。
介護士を目指し、新生活を迎えるため、クロユリ団地に引っ越してきた明日香。
希望に満ちているはずが、違和感ばかり感じる日常生活の中で、明日香は隣室の老人が孤独死しているのを発見してしまう。それから彼女の恐怖は始まった。明日香は、死んだ老人の部屋に仕事のためやってきた特殊清掃業の青年、笹原に救いを求める。
せっかくクロユリ団地なんて、団地にふさわしくない名前がついているのか、由来は語って欲しかった(ひょっとして、『クロユリ団地 序章』を見れば分かるのか……?)