FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

真夏の方程式/西谷弘監督

 東野圭吾の映像化作品を見るのは、テレビ化のそれも含めてたった二作目である。この西谷弘監督『真夏の方程式』と土井裕泰監督『麒麟の翼〜劇場版・新参者〜』のみだ。我ながら情けないことに、最近では東野圭吾の良い読者でもなくなっている。
 原作はガリレオシリーズ第六弾、シリーズ三作目の長編である。原作を未読であるため、犯人当てを楽しむことができた。
 ガリレオこと湯川学を演じる福山雅治がとにかく気障だ。しかし、加賀恭一郎演じる阿部寛も気障だったので、似たようなものかもしれない。
 ミステリ映画としては、短編のネタを引き伸ばして用いたような印象がある。その引き伸ばした部分を人情ドラマで埋めており、ウェットに過ぎるところがある。
 湯川学の「ある人物の人生が捻じ曲げられる」ことを恐れることには共感する。
 美しい海を誇る町、玻璃ヶ浦。近頃、海底鉱物資源開発派と環境保護派の人々の間で、緊張した空気が流れている。この町の旅館に湯川学と、旅館の経営者の親戚である小学五年生の少年と、そして一人の初老の男性客、塚原の姿があった。塚原は元刑事だ。自分が解決したはずの十六年前の事件を追っており、旅館の経営者である川畑一家となにか因縁があるらしい。やがて殺人事件が発生する。
 湯川は一応仕事でこの土地に来ているのだが、仕事をしている場面がほとんど見られないので、「名探偵の休暇」ものを思わせる。