FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

パーフェクト・トラップ/マーカス・ダンスタン監督

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 言われなければ気付きにくい『ワナオトコ』(http://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/20101203)の続編。監督も同じマーカス・ダンスタンだし、前作の主役アーキンも『ワナオトコ』の物語を経てきた「もう一人の主役」として活躍しているし、普通に『ワナオトコ2』でいいじゃのに、なぜだ。なんだかノルウェー版「13日の金曜日」というべきロアー・ウートハウグ 監督『コールドプレイ』の続編が、マッツ・ステンバーグ 監督『ザ・コールデスト』だったことを連想させられる。ちなみに内容はどちらもとても良かったのだが。
 罠を巧みに使う猟奇殺人鬼「ワナオトコ」に蹂躙されるアメリカ。金持ち娘エレナは、友達とともに地下倉庫のパーティーに出て、ワナオトコの罠にかかった。パーティーの参加者は友人を含めて全員殺され、エレナはワナオトコが箱に入れて「持ち歩いていた」アーキンと出会う。
 アーキンはどうにか逃げ出すが、エレナは代わりにコレクションとして捕まった。
 エレナの父親は、幼い頃からエレナを護衛してきた友人に依頼し、チームを作ってエレナ救出へと向かう。アーキンも参加させられた。向かう先は廃墟となったホテルだ。
 一方その廃墟ホテルの中でエレナも目を覚まし、生きて逃げ出すことを誓っていた。当然、廃墟ホテルはトラップ満載の死の館と化していた。
 ホラー映画としてはアクション過剰気味ながら、そう悪くない続編だった。救出チームの皆様が殺しのプロフェッショナルなのに弱すぎだとか、ワナオトコが出てきる都度格好つけ過ぎ(必ず決めポーズ)だとか、突っ込みたい要素は山ほどあるが、続編となった途端質が極端に落ちることが多いホラー映画としては、なかなか楽しめる。なにせ突っ込みどころは『ワナオトコ』のときからたくさんあったことだし。
 今回は、ワナオトコの罠より、怖いものがった。ワナオトコのコレクションとして幽閉されているうち、正気を失った(と思しき)女性アビー。あのぼんやりとした表情、そして危うげな言動が怖い。そしてアーキンが生き残りとともに館から脱出するためにとった「外にいる人々に気付いて貰う方法」。これはぞわりと来た。
 過大な期待をしなければ楽しめるB級ホラー映画。