もっとも暗い場所へ/エリザベス・ヘインズ
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当方の大好きなシェヴィー・スティーヴンスやSJ・ワトソンといった女性サスペンス作家が褒めていたので、購入した。読了した結果、感想を言えば、この『もっとも暗い場所へ』は、前述の作家達の作品ほど人工的な技巧が施された作品ではない。この陰鬱なリアリティや、最後の最後で救いがあるとは言え、事件のすべてがすっきりと解決するわけではなく、被害者のうえにやりきれなさが残る生々しさなどは、むしろニッキ・フレンチを連想させられる。
作品の中では、二種類の時間が流れている。キャサリンがリーという男性と出会い、恋に落ちる様子。そしてその四年後、リーが刑務所に入り、キャサリンが神経を病み、リーの影に怯えながら暮らしている様子。はたして、二人の恋はどのように破綻したのか、そしてリーがなにをしたのか。リーの職業は、冒頭の裁判で描かれるから、読者には分かっている。分かっていることと、筆者の冷静な筆致が、いっそう読者の恐怖をかきたてる。
陰気な秀作。
記憶の家で眠る少女/ニッキ・フレンチ/務台夏子【2500円以上送料無料】
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↑ニッキ・フレンチの秀作