FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

青雷の光る秋/アン・クリーヴス

青雷の光る秋 (創元推理文庫)

青雷の光る秋 (創元推理文庫)

 〈シェトランド四重奏〉最終章。もっとも続編があると知り、脱力した。
 ミステリとしての出来栄えは、第一作『大鴉の啼く冬』に次いで良い。そして最終章に相応しく、かなり意外な出来事が起きる。これはぜひとも、シリーズが刊行された順番に呼んで欲しい。この「意外な出来事」といい、狭いコミュニティの人間関係の摩擦や、被害者の人となりから事件が発生する様子は、同じくイギリスの女性ミステリ作家であるアガサ・クリスティを彷彿とさせる。
 嵐の孤島で起きる連続殺人事件。本格ミステリ愛好家の心をくすぐる設定だ。
 ペレス警部は婚約者フランを伴い、故郷のフェア島へと帰った。バードウォッチングが盛んな島の、フィールドセンターでひらかれた婚約祝いパーティの直後、センターの職員アンジェラが殺される。彼女は世界的に有名な学者であり、様々な人間の愛憎の渦の中心にいた。やがて嵐のため交通が途絶え、連続して発生する殺人事件に、ペレス警部が挑む。それは、肉親を含め、彼の愛する人間を巻き込むものだった。
 〈シェトランド四重奏〉の哀しきフィナーレである(続編はあるけれど……)。
 なかなか面白かった。

大鴉の啼く冬 (創元推理文庫)

大鴉の啼く冬 (創元推理文庫)

白夜に惑う夏 (創元推理文庫)

白夜に惑う夏 (創元推理文庫)

野兎を悼む春 (創元推理文庫)

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