感謝祭は邪魔だらけ/クリスタ・デイヴィス
- 作者: クリスタ・デイヴィス,島村浩子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2012/11/29
- メディア: 文庫
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「家事アドバイザーの事件簿」シリーズ第一作目。
うん。面白かった。
これは、解説の大矢博子の言う通り、ありふれたコージー・ミステリ……「ちょっと変わった職業についているヒロインが、その職業に関する豆知識を披露しつつ、巻き込まれた事件を解決する。事件はおまけのようなもの」とは違う。
アメリカの古き町アレクサンドリア。主婦たちは感謝祭の準備で大忙しだ。家事の名人ソフィは、食料品の買出しに行ったおりに死体に出くわし、シリーズミステリものの登場人物によくあることだが、死神のように翌日にも死体と出会うこととなる。しかも彼女が参加する料理コンテストの会場でだ。
277ページでヒロインが友人に電話で言われた台詞「誰かがあなたの家にいる。いますぐ外に出て」にはぞくっとした。
コージーミステリとしては、と言わなければならないけれど、サスペンス性も結構あり、ミステリとして楽しめる。もっと楽しいのが、ヒロインのソフィと、旧友ナターシャとのライバル関係だ。バツイチで今は実家でくすぶっているソフィと、カリスマハウスキーパーとして名高いナターシャは、子供の頃から、ことごとく張り合って来た。しかも現在ナターシャは、現在ソフィの別れた夫と暮らしている(ただし離婚の理由はナターシャではない)。ソフィにとってはまったくもって腹立たしい相手なのだが、ソフィはナターシャを心から憎むことはできなかった。ナターシャは最初からなにもかも手に入れていたわけではなく、子供の頃から苦労を重ね、現在の地位を手に入れたのだから。
余談だが、子猫がてっきり「モカ」という名前になると思っていたのに、「モチ」という名前に決まったときにはずっこけた。日本語と英語で違うことは分かっていたが、「モチ」という名前はあからさまに「餅」を連想させられる。
先が楽しみなシリーズ。