FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ディスコード/ニコラス・マッカーシー監督

ディスコード [DVD]

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 設定が好みだったので手に取ってみたが、これはまずい出来だった。
 設定は良し、家と血脈に隠されていた秘密もいいのだが、ストーリー展開がつまらないゆえに、せっかくの題材が台無しになっている。
 異様なほど神経質な母親に育てられたニコールとアニーの姉妹。長じてアニーは母を、家を、故郷を捨てた。しかし、母親の葬儀ともなれば、家に戻らないわけにはいかない。
 一足先に家に戻っていたニコールに促され、アニーは久しぶりに母の家に戻った。
 ところが、姉の姿が見えない。幼い姪のみが取り残されている。
 従姉妹のリズもこの家で消えた。
 そして、怪異がこの家で次々と起こる。やがてアニーの眼前に現れた亡霊は……母でも、姉でも、従姉妹でもなく、まったく見知らぬ女性のものだった。当惑したアニーは、家と町の歴史を調べようとする。
 姉妹の暮らしていた家と家族とは、忌まわしいある秘密を抱えていた。
 まずい点としては、取り残された幼い姪という題材が、ほとんどストーリーに絡まない点だ。幼い少女だけが見える恐ろしいなにかだとか、無垢なはずの幼女が悪霊に取り憑かれて、と色々な風に使うことができるはずなのに、話の中盤ではほとんど放っておかれ、ラストで唐突に出てくる印象が強い。主人公の考えや行動を決定づける重要な存在であるにも関わらず、である。
この題材ならば、もっと面白いホラー映画になったはずなのに、実に惜しい。