ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館/ジェームズ・ワトキンス監督
久しぶりに映画館でホラー映画を見た。
大画面もさることながら、やはり音響がもたらす迫力が違う(ホラー映画における、音響の貢献度については言うまでもない)。
この『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』はストーリーがありきたり、黒衣の女と白衣の女の対比もうまく効いていない、なによりラストが半端すぎるという欠点はあるが、音響と風景、そして小道具の美しさとおぞましさは抜群だった。
トロイ・ニクシー監督のゴシックホラー映画『ダーク・フェアリー』でも、壁に鮮やかな影を落とすメリーゴーランドに型の電燈がうまく使われていたが、この『ウーマン・イン・ブラック』における多数のぬいぐるみ、そして三猿の像を用いた恐怖の演出が出色の出来だった。そして、潮の干潮によって水中へと沈んでしまう道と、それに続く廃墟めいた館の風景が素晴らしい。これでラストがもっと引き締まったものだったら、なにも言うことはなかったのだが。
十九世紀末イギリス。出産で妻を失い、残された息子と暮らす若き弁護士アーサー。彼は田舎町クライシン・ギフォードに佇むイールマーシュの館(原作では「うなぎ沼の館」)に赴き、残された文書の管理をすることとなった。しかし、その館には子供達を次々と自殺に誘い込む黒衣の女が出没する魔の空間だった。従ってアーサーは身の毛もよだつ惨劇に巻き込まれることとなる。
ストーリー自体は特筆することはなく、ラストは多様な解釈ができるようなものにして、かえって観客が首を傾げるようなものにしてしまった観がある。スーザン・ヒルの原作通りにした方が良かったのではないか。
色々と欠点を書いたが、細部には光るものが多く、なによりゴシックホラー好きには楽しめる一作だった。
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