FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

シャーロック・ホームズの冒険/ビリー・ワイルダー監督

 ビリー・ワイルダー監督が脚本・監督・製作を勤めたパスティーシュ。現在の視点で見ると、危ういネタがいくつかある(公開された1970年でもそうだったかもしれないが…)
 名探偵ホームズと記憶喪失の美女とのロマンス、ネス湖ネッシーとその正体など、内容が盛りだくさんの楽しいエンターテイメント作品である。実在した、英国史上の大物も顔を見せる。本当に、あれほど小柄な人だったのだろうかと驚き調べると、145センチメートルだったと知り、さらに驚く。
 二時間を越えるボリュームで、その上中身の濃さを感じられる映画だが、最初はさらに四時間近い大作だったと知り、驚く。カットされたのは、おおもとコミカルな場面らしい。
 かの名探偵が女嫌いではなく、女性運がないため異性を避けているという設定なので、異論がある向きもあるかもしれない。
 ワトソンの死後数十年を経て発表されたホームズのある冒険譚。それは、ホームズの私生活と、国家に絡むある事件が記されていた。
 テムズ河で溺れ、記憶を失っていた美女ガブリエルを助けたホームズ&ワトソン。
二人はガブリエルを救い、彼女の行方不明の夫を探そうとする。しかし、調査を止めたのは、ホームズの兄マイクロフト。どうやら事件には英国政府も絡んでいるらしい。
 事件を解く謎がスコットランドにあると知った三人は、正体を隠して(ホームズとガブリエルは夫婦、ワトソンは下男)はかの地へと飛ぶ。しかしネス湖で彼らを待っていたのは怪物だった。
 スコットランドの風景が大変美しい、冒険活劇。ラストも哀切である。
 ホームズのファンにも、ビリー・ワイルダー監督のファンにも、お勧めの名作。