フライトナイト/トム・ホランド監督
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ゾンビ映画の類似品に陥らず、アクションや特殊撮影に過剰に頼り過ぎることなく、恋愛や濡れ場を前面に押し出しすぎることもなく、吸血鬼というモンスターの恐怖をよく描いたホラー映画。現代の視点から見れば古風な、蝙蝠や霧などへの変身などの演出も楽しめる。
近年では、トーマス・アルフレッドソン監督『ぼくのエリ 200歳の少女』という吸血鬼映画史に残るような傑作が公開されたが、あの作品でさえ「ボーイ・ミーツ・ガール」の要素、そして主役の少年と吸血鬼の孤独と少女の悲哀が主たるテーマとなった映画だった。
平凡な高校生チャーリーはある日偶然、隣家に引っ越してきた男ダンドリッジが美女連続殺人事件の犯人だと気付く。ただの連続殺人鬼ではない、ダンドリッジは吸血鬼だったのだ。
むろんチャーリーのこの主張を誰も信じてくれなかった。親も、親友も、ガールフレンドも、警察も、である。さらに悪いことには、ダンドリッジにはチャーリーが気付いたことに気付かれてしまい、生命を狙われる羽目になる。
チャーリーは、ホラー番組『フライトナイト』のホスト、ピーター・ヴィンセントに助力を求めるが、ピーターは役柄の上では力強いヴァンパイア・ハンターだったが、自分自身では吸血鬼の存在などまるで信じない、臆病者だった。
やがて、吸血鬼の魔の手は、チャーリーだけではなく、彼の親友や恋人の上に伸びる。
主人公の少年の孤独な戦いもさることながら、タレントとしては落ち目で金銭的困窮を抱え、危機に陥ると高校生の少年少女を見捨てて逃げてしまう、だらしない大人のピーターが真のヴァンパイア・ハンターとして覚醒するところがぐっと来る。
続編『フライトナイト2/バンパイヤの逆襲』があり、また2011年に『フライトナイト/恐怖の夜』としてリメイイクされている。
秀作。
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