FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ミステリ作家の嵐の一夜/G・M・マリオット

ミステリ作家の嵐の一夜 (創元推理文庫)

ミステリ作家の嵐の一夜 (創元推理文庫)

 セント・ジャスト警部シリーズ第二作。相変わらず辛辣なユーモア漂う登場人物紹介の項目が楽しい。
 第二作の舞台はスコットランドの古城、背景は嵐の夜、関係者は出版社&ミステリ作家達で、前回同様いずれも癖のある人間ばかり。以前の被害者も嫌われ者だったが、今回もまた憎悪と嫉妬の対象になる人間が被害者である。
 スコットランド古城で行われる、ミステリ作家やその卵、ファンや作家エージェントの交流会である会議。中心人物となるのは、若くして人気沸騰中の美貌の女性作家キンバリー・カルダー。このカルダー、性格は傲慢で高飛車極まりなく、お洒落で流行にしか興味がない……ように見える。ただし最後の二つはおおもと演技であり、高学歴で、緻密な頭脳と優れた観察力を持つ彼女は、自分が他人に与えるイメージを完璧に把握しており、他者の秘密を嗅ぎあてる才能に満ちていた。
 そして嵐の夜、惨劇は起きる。
 古風な舞台と、現代的な人間関係が織り成す本格ミステリ
 今回はセント・ジャスト警部にもロマンスの香りが漂う。
 大学ものにしてマナーハウスものの第三作が待ち遠しい。