FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

靄の旋律/アルネ・ダール

靄の旋律―国家刑事警察 特別捜査班 (集英社文庫)

靄の旋律―国家刑事警察 特別捜査班 (集英社文庫)

 スウェーデン、国家刑事警察特別捜査班のメンバー達を主役としたスウェーデンの警察小説のシリーズ第一作である。杉江松恋の解説にもあるよう、謎解きの要素も大きく、おかげで 警察小説が苦手な当方が読んでも、とても楽しむことができた。 
 主たる舞台はスウェーデンだが、刑事が聞き込みに出張するため、エストニアなど近隣の国家も出てくる(北欧やバルト三国の言語のどれほど違いがあるのか分からないが、このミステリで刑事達が使う共通言語は英語だ)。
 むろん現代の北欧ミステリには、大抵陰を落としている移民問題も重大なテーマの一つとして扱われている。
 バブル経済崩壊後のスウェーデンスウェーデン実業界の大物が立て続けに殺されていく。その武器と処刑方法は、マフィアのそれを連想させた。問題児ばかりを六人集めた国家刑事警察特別捜査班が、捜査を始める。結果、実業家たちはあやしげな秘密結社に出入りしたり、表には出せぬ性的傾向を持ち合わせていたりしたことが分かった。
 メンバーの造形はありがちだが、前述の通り、謎解き部分が良い。個人的には、「なぜこの犯人が、この武器で」という真相には「ああ」と声が漏れた。
 二作目の邦訳が待たれる。