FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

チューダー王朝弁護士シャードレイク/C・J・サンソム

チューダー王朝弁護士シャードレイク (集英社文庫)

チューダー王朝弁護士シャードレイク (集英社文庫)

 十六世紀イングランド、統治するのはヘンリー八世。弁護士シャードレイクは、王の摂政クロムウェルの命令により、修道院で起きた殺人事件の謎を追う。
 「イギリスの時代物+修道院が舞台」もののミステリとして、期待しながら手に取ったが……とてもつまらないとは言えないが、手放しで面白いとは言いかねる出来だった。
 重厚な雰囲気と、ゆっくりとした展開と、多いページ数。これらが読みにくい主たる原因で、おまけにそこを乗り越えて待っていた謎解きの真相が、あまりにもありがちで、評価が下がった。
 殺人事件の真相がもう少し読者を楽しませてくれるものだったが、雰囲気の重さや、ページ数の多さもさしたる傷にはならなかったはず。
 スカーンシアの修道院で残忍な殺人事件が起こった。摂政クロムウェルの命令で、弁護士シャードレイクは秘書兼助手のマークを連れて修道院へと向かう。
 シャードレイクは肉体的なハンデを負っており、そのことが他人に蔑視されることもあって、自分自身でも深いコンプレックスを持っている。それを補うように深い知性を持つ彼とマークの前に現れた容疑者は、いずれも個性の強い修道士ばかりだった。
 言うまでもないがヘンリー八世はエリザベス一世父親である。六回結婚した彼だが、エリザベス一世の母アン・ブーリンを含め、何人かの王妃を処刑している。この巻の時点では、三人目の王妃ジェーン・シーモアが出産後に生命を落としたばかり。