FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

13時間前の未来/リチャード・ドイッチ

13時間前の未来〈上〉 (新潮文庫)

13時間前の未来〈上〉 (新潮文庫)

 良くも悪くもディーン・R・クーンツみたいなエンターテイメント小説である。
 善良な人は一貫して善良であり、悪党は悪党。読者を決して飽きさせない展開が待っていて、締めはもちろんハッピーエンド。
 これは揶揄や蔑みで言っているのでは決してない。エンターテイメント小説の、一つのあるべき姿であるとさえと考えている。
 ハンサムなビジネスマン、ニックは警察の取調室に連行された。しかも容疑は妻のジュリア殺し。ニックが最愛の妻を殺すはずはない。怒りと悲哀と混乱に苦しむニックの前に、一人の人品卑しからぬ初老の紳士が現れ、懐中時計を差し出した。それは、ある奇妙なルールを持ちながらも、時を遡ることができる不思議な時計だった。
 半信半疑ながらも時計を受け取り、タイムトリップした彼は、なんとかジュリアを救い、真犯人を見つけ出そうと挑む。しかし、ジュリアを助けようとすれば代わりに別の人間が死んだり、あるいはジュリアを結局死なせてしまったりと、悲劇が続く。そしてニックは、ジュリア殺しがただの殺人事件ではなく、大きな犯罪の一つだと知るのだ。
 スリル、ロマンス、友情と読んでいてとにかく楽しい一冊。
 

13時間前の未来〈下〉 (新潮文庫)

13時間前の未来〈下〉 (新潮文庫)