FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

スリー・パインズ村と警部の苦い夏/ルイーズ・ペニー

スリー・パインズ村と警部の苦い夏 (RHブックス・プラス)

スリー・パインズ村と警部の苦い夏 (RHブックス・プラス)

 ガマシュ警部シリーズ、第四作目。これもまた家族の秘密が絡んだミステリである。ガマシュ警部は確かに苦い夏を迎えるが、スリー・パインズ村は出てこない(住人は出てくるけれど)。なのに、タイトルになっている。なぜだ。
 名探偵の休暇は休暇にはならぬという定石に従い、夫人レーヌ・マリーを伴い、出かけけた湖畔の美しいロッジでガマシュ警部は、殺人事件に巻き込まれる。
 夏の休暇。湖畔のロッジで、妻との休暇を楽しんでいるガマシュ警部。同じロッジに、裕福そうだが、一風変わった三世代の家族が滞在していた。どこか奇矯で、親密さを欠き、危うい雰囲気を持った家族だった。おまけに、ガマシュ警部も初めて知ったことだが、その一族の一人は、スリー・パインズ村の住人だった。
 ロッジの庭には、今は亡きその一家の主の銅像が立っている。
 嵐の夜、主の銅像は倒れ、娘にあたる長女を押し潰した。事故か、殺人か。
 メインの関係者となる一族のメンバーに、わざわざあの村の人々を入れなくてもいいじゃないか思うが、なかなか面白かった。
 亡き父の銅像に押し潰される娘という事件が象徴するよう、死んだ父にいまだ囚われる家族達が物悲しい一冊。

スリー・パインズ村の不思議な事件 (ランダムハウス講談社文庫)

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スリー・パインズ村と運命の女神 (ランダムハウス講談社文庫 ヘ 4-2)

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スリー・パインズ村の無慈悲な春 (RHブックス・プラス)

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