光輝く丘の上で/マデリン・ハンター
- 作者: マデリン・ハンター,石原未奈子
- 出版社/メーカー: 二見書房
- 発売日: 2012/06/21
- メディア: 文庫
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『きらめく菫色の瞳』、『誘惑の旅の途中で』に続くロスウェル・シリーズ第三作。『きらめく菫色の瞳』は途中で投げ出した作品で、『誘惑の旅の途中で』はなかなかの秀作だった。期待と不安、相半ばする気持ちで手に取ったが、これは『誘惑の旅の途中で』と同じ、秀作だった。
兄ティモシーのしでかした経済面での犯罪行為(本人はとっとと外国にトンズラ)で、被害者達から恨みを買っているロングワース一族。ティモシーの妹ロザリンは、兄に恨みを持つ貴族の手によって、いかがわしいパーティーでオークションにかけられることとなった。
紳士とは名ばかりの紳士の集まったパーティーで、たった一人紳士らしい振る舞いをした男性がいた。平民から身を起こした実業家カイルだ。以前からロザリンに惹かれていた彼は、高値でロザリンを買い、その場から救い出すと、安全な場所まで送り届けて立ち去った。
この白馬の騎士と、哀れな姫君は当然惹かれ合うのだが、そこにろくでなしの兄ティモシーが絡む。ティモシーは罪を償うことなどさっぱり考えておらず、ロザリンも血肉をわけた兄ゆえ、あっさりと切り捨てることがなかなかできないのだ。
実に憎たらしい兄貴である。訳者あとがきにもあるので、軽くネタバレしてしまうが、勧善懲悪に終わることの少ないマデリン・ハンターの作品の中で、この『光輝く丘の上で』は珍しく悪人どもの上に鉄鎚が下される。
読者は、カイルとロザリンのロマンスを楽しむとともに、シリーズ第一作からヒロイン達に迷惑をかけ通しだった(『誘惑の旅の途中で』のヒロインは、身内ではないのでやや異なるが)ティモシーが、どんな目に遭うかと、わくわくしっぱなしだった。少なくとも当方はそうだった。
次はイースターブルック侯爵当人がヒーローだろうか。
- 作者: マデリン・ハンター,宋美沙
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- 作者: マデリン・ハンター,石原未奈子
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