ブース booth/中村義洋監督
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これは怖い。のっけから怖い。
ほとんど予備知識を得ないまま、なんとなく手に取ったのだが、近頃見た中で、これに匹敵するほど怖く、面白かったホラー映画はダニエル・スタム監督『ラスト・エクソシズム』(http://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/20120429)ぐらいだった。
主人公が深夜ラジオの人気パーソナリティという職業上、かかってきた電話の相手に当意即妙な答えを発しなければならず、放送作家以外のスタッフはすべて声も聞こえないガラスの向こうにいるから意志の疎通は難しく、万が一舌打ちでもしようものなら、全視聴者にそれが伝わってしまうという緊張感が実に効いている。
人気DJ勝俣は、引っ越しという局の都合でいつもとは違う、古びたDJブースを使うこととなる。最初勝俣は知らないが(観客は冒頭から知らされているのだが)、そこは電話相談を受け付けていた男性アナウンサーが、不気味な質問を電話越しに受けたのち、唐突に首吊り自殺をしたといういわくつきの場所だった。
異常は、勝俣の上にも起きた。
勝手に開く扉。「嘘つき……」と囁く女の声。どうやらそれは勝俣の耳のみ聞こえてくるのではなく、スタッフや視聴者にも聞こえているらしく、問い合わせのメールがわんさか来る。それでも恐怖をふりきり、「恋愛関係で言われた許せない一言」という本来のテーマの番組を続けようとするのだが、勝俣はやがて自分がスタッフや恋人にしてきたひどい仕打ちを思い出すようになる。やがてしつこい電話がかかってきて、勝俣の神経も焼き切れそうになる。
はてして勝俣の被害妄想で終わるのか、あるいはもっと別のオチがあるのか……と考えていたら、思いもかけないラストが待っている。
よくできた怪談を聞くような味わいもある。そして舞台のほとんどがDJブースの中という限定されたところでよくこの不気味な雰囲気を出した。
ホラー映画のファンで見る機会があれば、ぜひ。
傑作。
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