FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

マシューズ家の毒/ジョージェット・ヘイヤー

マシューズ家の毒 (創元推理文庫)

マシューズ家の毒 (創元推理文庫)

 『紳士と月夜の晒し台』に続く、ハナサイド警視シリーズ第二作。これは……正直に言って、この『マシューズ家の毒』から日本の読者に紹介した方が良かったのではないだろうか。思わずそう考えるほど、『紳士と月夜の晒し台』に比べて出来がいい。シリーズの定型なのか、「警察の同じ程度、あるいはそれより鋭敏に真実を捕らえる人間」がまた登場する。
 この『マシューズ家の毒』は、いわゆるマナーハウスものである。マナーハウスとは書かれていないがお屋敷が舞台、家族が使用人とともに暮らしていて、出入りする医師や顧問弁護士も容疑者リストに名前を連ねる、家庭内での殺人ものだ。
 実業家グレゴリー・マシューズ家は<ポプラ屋敷>の当主にして嫌われ者。その彼が突然死を遂げた。病死か殺人か判然としないなか、検死の結果は他殺。容疑者は大勢、動機もたっぷり、しかし決め手は見当たらない。スコットヤード・ヤードのハナサイド警視は、またもや癖の強い容疑者の群れの中を右往左往しながら、事件の核心へと向かっていく。
 相変わらず、会話もいい。第三作にも期待する。

紳士と月夜の晒し台 (創元推理文庫)

紳士と月夜の晒し台 (創元推理文庫)