FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

死を哭く鳥/カミラ・レックバリ

死を哭く鳥―エリカ&パトリック事件簿 (集英社文庫)

死を哭く鳥―エリカ&パトリック事件簿 (集英社文庫)

 「エリカ&パトリック事件簿」第四作目。傑作の続くこのシリーズだが、四作目にして少し質が落ちる。そして、これは作者というより、翻訳者の問題だろうが、「高〜い」だとか、「うそ〜っ」だとか、おかしな日本語が目立つようになった。どちらも会話の中で使われているもので、軽い感じの話し方を表現しようとしているのだが、軽いというよりは軽薄で、不自然な印象を与える。
 酒を呑まない人間が飲酒事故を起こして、生命を失う。事故として処理しようとしたパトリックだが、どうも引っかかるものを感じ、資料室で調べ出す。すると、似たようなケースが出てくる。アルコール絡みの、不自然な事故や自殺。一連の事件の裏には、ある殺人鬼の姿が見え隠れしていた。
今回、メインの活躍をするのはパトリックだが、エリカの出番も結構ある。『悪童』のラストで、とんでもない事件の関係者となった妹アンナと、その子供達の面倒を見ているのだ。この巻で、あの事件がメインになるのかと思っていただけに拍子抜けした。エピソードとして出てくるぐらいである。
 ミステリそのものとしては、シリーズの前の作品に比べてやや落ちるが、引きの巧さは相変わらず抜群で、思わず次の作品を読みたくなってしまう。今度は、エリカとアンナの実家、姉妹の母親がテーマになりそうだ(と予想させておいて、また外されたりして)

氷姫―エリカ&パトリック事件簿 (集英社文庫)

氷姫―エリカ&パトリック事件簿 (集英社文庫)

説教師 エリカ&パトリック事件簿 (集英社文庫)

説教師 エリカ&パトリック事件簿 (集英社文庫)

悪童―エリカ&パトリック事件簿 (集英社文庫)

悪童―エリカ&パトリック事件簿 (集英社文庫)