FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ふたりきりの花園で/トレイシー・アン・ウォレン

ふたりきりの花園で (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

ふたりきりの花園で (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

 トレイシー・アン・ウォレンは当たりはずれの大きい作家だが、この作品は当たりの部類に入るだろう。『その夢からさめても』に続くバイロン・シリーズの二作目で、とてもありふれたストーリーなのだが、第一作より面白かった。
 「金目当てで、貧乏貴族が裕福な家庭の女に近付く→本当の恋に落ちる→女が、金目当てであることに気づく→当然生じる不和→やがて元鞘に」という、もうありふれて、ありふれて、どうしようもない筋立てのヒストリカルロマンスだが、途中で投げ出すことなく読める。欲を言えば、もう少し個性が欲しかった(正直を言えば、もう少しではないけれど)
 公爵家の第三男ジャック・バイロンは、容姿端麗な遊び人だった。ある日、彼は平民の実業家デンバースにカードゲームで負けたことから、莫大な借金を負うことに。借金を帳消しにしてもらうため、ジャックはデンバースの娘グレースを誘惑し、結婚に持ち込むことを約束する。デンバースは、ジャックの爵位が狙いだった。
 ジャックは恋愛を演じた末、グレースとの結婚を決めるが、彼女には本当に惹かれるようになっていた。だがある日、聡明なグレースは父とジャックとの契約に気付いてしまう。
 紙一重のところで、陳腐ではなく、王道となった物語。

その夢からさめても (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

その夢からさめても (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)