FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

フィアー・イットセルフ FEAR ITSELF マンイーター/疑惑

 恐怖演出に定評がある一流のクリエイターたちが手掛けたアンソロジーの第二作。スチュアート・ゴードン監督「マンイーター」と、ジョン・ランディス監督「疑惑」が収録されている。
 当方、この『フィアー・イットセルフ FEAR ITSELF』を順番通りに見ており、従って第一作と第二作しかまだ見ていないのだが、法則がある。これを明かしてしまうのは危険なことなのだが、作品の最後にひねりがあることと、大体が後味の悪い決着を迎える点だ。もっとも(奇妙な表現になるが)バッドエンドにも程度の差があり、某ゲームのキャッチコピーではないが、「どうあがいても絶望」という代物から、「自分自身は破滅するが人助けなど最大の目的は達成できる」まで色々とある。もっともシリーズをさらに続けて見て行けば、この法則も崩れるかもしれない。
 アンソロジー二作目は総じて第一作目より面白く、特にジョン・ランディス監督「疑惑」は楽しめた。
 スチュアート・ゴードン監督「マンイーター」。アメリカの田舎町の警察署。この警察署に、一晩だけマンイーターと呼ばれる殺人鬼が拘留されることとなった。この三十人以上の人命を奪っている殺人鬼の綽名の由来はそのまま、殺した人間の肉を食べていたからだ。この警察署には、一人だけ女性の警察官がいた。まだ新米で若く、先輩の男性警察官の中では浮いており、ホラー映画のファンというコアな趣味の持ち主ということもあり、色々と嫌がらせを受けることもあった。唯一黒人の署長が応援してくれることが救いだ。
 この女性警察官が、男性の先輩とともに、宿直に当たることになった。鉄格子の中には、殺人鬼マンイーターがいる。報告書を読むと、どうやらマンイーターは殺した人間の肉を食べることにより、特別な力が手に入ると考えていたようだ。やがて不審な物音や、しきりに点滅する電気、檻の中でぴくりとも動かない殺人鬼など、奇妙な出来事が次々と起こる。
 深夜の警察署を舞台に限定した、若い女性警察官と、得意な宗教観を抱く殺人鬼との攻防。あるものが出てきた瞬間からオチは想像がつくものの、なかなか楽しめた。
 ジョン・ランディス監督「疑惑」。こちらはヘンリー・スレッサーロアルド・ダールの短編を思わせる。結婚式を控え、教会でその時間を待っている若い女性。幼馴染み二人が、ブライドメイドを勤めてくれることになった。だが、花嫁と花婿は、知り合ってから結婚するまでのスピードが異様に早かったことがあり、それを良くないことだと考えている人間も少なくなかった。そして、花嫁のもとに、一枚のメモが届けられる。「あなたが結婚する相手は連続殺人鬼だ」と。花嫁は幼馴染と慌ててメモを渡したと思しき人間のあとを追うが、車で逃げられてしまう。そして、花嫁の、花嫁の周囲の人間の疑惑は深まっていく。
 このアンソロジーの第二作の収録された二つの作品に限って言えば、ホラーというより「奇妙な味」が強く感じられる作品で、想像したのは日本の『世にも奇妙な物語』だった。
 シリーズを続けて見るぞ。

FEAR ITSELF SPECIAL DVD BOX Vol.?

FEAR ITSELF SPECIAL DVD BOX Vol.?

↑当方はレンタルビデオショップで一枚ずつDVDを借りたのだが、AmazonではBOXしかないのか?このBOXに「マンイーター」も「疑惑」も収録されている。