FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

その夢からさめても/トレイシー・アン・ウォレン

その夢からさめても (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

その夢からさめても (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

 トレイシー・アン・ウォレンは当方にとって不思議な作家である。彼女の「トラップ」シリーズは、これまでに読んだヒストリカルロマンスの中でも、もっとも面白いシリーズの一つだった。しかしながら、もう一方の「ミストレス・シリーズ」はどうにも退屈で、三冊すべて手に入れたのだが、皆最後まで読み終わることができなかった。
 このリージェンシー・ロマンスものの「バイロン家」シリーズ(と呼んでいいのか)は、その中間あたりにある。そこそこ面白いが、悪役がいかにも悪の天才風に書かれていながら、結局大したことなかったことと、ヒロインが余計なことをやって、ヒーローの足を引っ張ったので、減点である。
 公爵家次男、元イギリス軍の偵察将校のケイドは、つらい過去を負っていた。戦争中、フランス軍に捕まり、拷問を受けた。自分ならず、婚約者カリダまでが。カリダの家族は全員殺され、カリダは陵辱され、惨殺された。
 ケイド自身大怪我を負って生き伸びたものの、トラウマから抜け出すことができず、世間からは「つらい経験から気が触れた」と噂されながら、自分の屋敷に閉じこもって暮らしていた。
 そこにやってきたのが、イギリス海軍大将の娘マーガレット。大雪に難儀するあまり、一夜の宿を求めてやってきたのだ。二人でいるところを近所の老人に見られ、マーガレットの面子を守るため、ケイドはマーガレットと偽りの婚約をする。
 しかし、二人はロマンスの定石に従い、本気で惹かれあうようになる。二人の恋の本物になる頃、ケイドの前に自身とカリダを拷問にかけた男が目の前に現れた。
 面白くないことはないが……先に「トラップ」シリーズの最終作を訳してほしい……。

あやまちは愛 (二見文庫 ウ 6-1 ザ・ミステリ・コレクション)

あやまちは愛 (二見文庫 ウ 6-1 ザ・ミステリ・コレクション)

愛といつわりの誓い (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

愛といつわりの誓い (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

↑傑作トラップシリーズ