FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

夜の欧羅巴/井上雅彦

夜の欧羅巴 (ミステリーランド)

夜の欧羅巴 (ミステリーランド)

 ストーリーは王道なのに、細部はマニアック。わくわくするような展開と、たくさん出てくるオブジェが耽美的だったりユニークだったりして、びっくりするほど面白く、短編長編合わせて、井上雅彦の作品でもっとも楽しむことができた。むろん小島文美の表紙や挿画も、この上なく似合っている。
 少年レイの母親、吸血鬼画家として世界的に名高いミラルカが姿を消した。ある廃工場で殺された男が、ミラルカの絵を握り締めていたらしい。捜査官らしき男が訪ねてきて、レイに根掘り葉掘り聞く。ミラルカは、仕事上の知り合いである青山に、レイと画集『夜の欧羅巴』を托していた。
 青山と、レイ、その女友達ココは、それぞれヨーロッパへと旅立つ。ミラルカを探し、それぞれ妖魔と戦い、某組織と争い、ときには協力しながら。
 魅惑的な小道具に彩られた、幻想的な冒険小説。ココと、その援軍がいかにも可愛らしい。