FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

最高の贈り物/リサ・クレイパス

最高の贈り物 (ライムブックス Lixury Romance ク 1-1) (ライムブックスLuxury Romance)

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 リサ・クレイパスの数少ない短編作品。訳者によるあとがきによると、「キャピタル・シアター・シリーズ」の最後を飾る作品とのこと。
 リサ・クレイパスの数少ない短編作品とは書いたが、いつも通りの彼女の作品(十九世紀英国、堅物オールドミスVS放蕩者の青年貴族、偽りの愛のはずが、やがて本物の愛に……の展開)である。
 長編との違いは、ページ数の多寡の違いしか感じられないが、唯一目新しかった点と言えば、「縛られたヒーローを、ヒロインが襲おうとするところ」だろうか。
 ただいつも通りの彼女の作品という言葉は、決して悪口ではない。著者は平均点が高いロマンス作家で、この『最高の贈り物』も「ページ数のわりにちょっと高いな」とは思わせるものの、しっかり楽しみは与えてくれる。
 あまりに遊びが過ぎたせいで、伯爵たる父の資産を受け取ることができなくなるかもしれないアンドルー。彼は改心を見せかけるため、友人の姉で真面目なオールドミスのキャロラインに「交際しているふりをしてくれ」と頼み込む。
 弟の借金を清算してくれると聞き、気が乗らないながらもアンドルーと付き合っているふりをするキャロライン。だが二人はロマンス小説の定石に乗っ取り、本当に惹かれ合うようになる。
 筆者が好きなら、そこそこ楽しめるはず。