FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

説教師 エリカ&パトリック事件簿/カミラ・レックバリ

説教師 エリカ&パトリック事件簿 (集英社文庫)

説教師 エリカ&パトリック事件簿 (集英社文庫)

 「エリカ&パトリック事件簿」のシリーズ第二作。「エリカ&パトリック事件簿」と書いたが、今回妊娠中のエリカはほとんど事件には関わらないので、実際には「パトリック刑事&ターヌムスヘーデ警察署のメンバー達」の事件簿と呼んだ方がしっくりくるかもしれない。
 スウェーデンの町フィエルバッカ。その洞窟で見つかった若い女性の全裸死体と、古い二つの遺体。死期は二十年以上ずれるが、いずれも同じような手口で惨殺されている。新しい亡骸は、この町を訪れた女性のもの、古いものは、かつて謎めいた失踪を遂げたフィエルバッカの住人のものだった。
 二十年以上前、女性達が失踪したとき、容疑者の一人とされたのがユハンネス・フルトという青年だった。彼は癒しの力を持つ説教師エフライムの息子で、ユハンネス自身、特殊な力を持つとされていた。ユハンネスは、実兄のガブリエルに、行方不明になった女性とともにいるところを目撃され、疑いをかけられることとなった。そののち、ユハンネスは死んだ。自殺だったと言われている。二十余年の月日が経った今、ガブリエルの息子ヤーコブが宗教団体を設立し、信奉者を魅了している。
 『氷姫』は「女性私立探偵物+謎解き」の魅力があったが、『説教師』は「警察小説+サイコキラーもの+謎解き」である。『氷姫』の方が面白かったが、「誰が、なんのために、殺人事件を起こしたか」の全貌を知ったときの良質の驚きは通底している。
 次巻でエリカの妹がどうなっているかがとても心配。

氷姫―エリカ&パトリック事件簿 (集英社文庫)

氷姫―エリカ&パトリック事件簿 (集英社文庫)