ひらいたトランプ/アガサ・クリスティー
- 作者: アガサクリスティー,Agatha Christie,加島祥造
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/10/01
- メディア: 文庫
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アガサ・クリスティーが毛色を変わったものを書こうと目指した、しかし結局のところいつも通りの彼女のミステリ(それも面白い)作品になったという印象がある一冊。
不気味な男シャイタナ氏が不気味なパーティーを開いた。一見したところ、ただ老若男女が集まってブリッジをするだけの会合、だがシャイタナ氏は言う。集められた四人の男女、医師、探検家、若い娘、老婦人のすべては、殺人犯でありながら法の手をまんまと逃れた人間達なのだと。やがてシャイタナ氏は殺される。
「ブリッジの点数表を通して真犯人を追いつめる」とのあらすじから、「ひょっとしてブリッジの説明ばかりされるのか」、「点数表ばっかりが出てくる小説なのかも」などと心配していたら、前記通り、いつもの彼女のミステリだった。メインであるはずの「ブリッジの点数表を通して真犯人を追いつめる」部分の扱いが小さく、その内容も強引に過ぎる(「こんなゲーム展開してるから、こいつが犯人だ!」)ような気がするものの、相変わらず容疑者達に対する人間観察の筆の冴は抜群、ラストの意外な展開も効いていて総じてなかなか面白かった。
ブリッジの詳細な説明は巻末にあり。