約三十の嘘/大谷健太郎監督
- 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
- 発売日: 2005/06/10
- メディア: DVD
- 購入: 2人 クリック: 87回
- この商品を含むブログ (222件) を見る
一つの汽車で、北の大地の旅を続ける六人の詐欺師同士の騙し合い。
なんて美味しい素材!聞いたときは思わず胸が震えた……が、どうも極上の料理は出来上がらず、素材のみで終わったしまった観のある映画。元々舞台劇だったようだったから、舞台で見れば面白かったのかも。
ある汽車で顔を合わせた五人の男女。彼らは善良な一般市民ではない。全員が詐欺師、しかもこれから皆で一つのグループを組んで仕事をしようという間柄だ。だが不安な要素はいくらもあった。横山は生意気な新参者、そしてかつてのリーダー、詐欺師達の輝けるカリスマは、三年前のある事件を契機に生きる屍と化していた。そこに問題がもう一つ、三年前、グループが空中分解する原因を作った女詐欺師、今井が姿を見せたのだ。彼ら一行の仕事は成功し、大金を掴むこととなる。だが旅の最中、大金の詰まった鞄が消え、彼らは互いの疑惑の鬼と化すのだ。
どれほど面白い話になるのかと期待させる幕開けで、結局そこそこの質で終わった。展開に意外性が乏しく、それを補うような会話の冴えも見られない。ミステリとしてもコメディとしても恋愛ものとしても、半端。
密室劇でもあるミステリ映画の傑作、佐藤祐市監督『キサラギ』を見てそれほど時間が経ってないため、いま密室劇について点数がやや厳しくなっているようだ。