エコール・ド・パリ殺人事件/深水黎一郎
エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ (講談社ノベルス)
- 作者: 深水黎一郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/02/08
- メディア: 新書
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おお、久しぶりに読んだ「密室の意味がちゃんとある密室ミステリ」。
幸薄い人生を辿ることとなったエコール・ド・パリの画家達に魅了され、彼らに関する書物を著していた有名画廊の経営者が密室の中で殺害された。高値がつくであろう絵は盗まれてはいなかった。読者は、警察や探偵の捜査の過程と、被害者が書いていた書物とを、交互に読むこととなる。
書物に書かれている内容と、現実の殺人事件の結びつきがきれい。
トリックが「こんな密室の制作方法を思いついたので、作家の私が書いてみたかったのです」で終わってない。前述の通り、密室にきちんとした意味あり。そしてその意味がまた興味深い。
これで容疑者達の造形があまりにもありきたりであることと、登場人物同士の交わす会話がださいことを除けば完璧。小説の登場人物だから言うが、被害者はやっぱり殺されて当然の奴だと思う。
久しぶりに良き本格ミステリを読んだ。第36回メフィスト賞を受賞した『ウルチモ・モロッコ 犯人はあなただ!』を読もうかな。