ロスト・ボディ/オリオル・パウロ監督
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ギリェム・モラレス監督『ロスト・アイズ』で、モラレスとともに脚本を担当したオリオル・パウロが、脚本・監督を務めた作品。
ここ数年に見たミステリ映画の中で、もっとも面白かった。
小さな技を最後まで丁寧に繋いで、最終的に大きな総合点を勝ち取るタイプの映画で、斬新な素材や手法はないが、大いに読者を楽しませ、嬉しい驚きを与えてくれるスペイン映画だ。アルフレッド・ヒッチコック監督の古典的なスリラー映画を連想させられる。
死体安置所から、パニック状態になった警備員がいきなり飛び出し、事故に巻き込まれた。
警備員の奇行の原因は不明……だが、死体安置所からは大金持ちのマイカという女性の死体が消えていた。
マイカの夫アレックスは戸惑った。最初から観客に隠そうとはしていないから書くが、マイカの死はアレックスが、若い恋人と一緒になるために引き起こしたものだ。
だが、妻の死体がなぜ消えたのか分からない。そしてアレックスの周囲に、彼の犯行をほのめかすような物的証拠が次々と現れる。
事件を担当するのは、数年前の愛妻の事故死の痛手からいまだ抜け出すことができない、ハイメ警部。娘の存在が心の支えだ。
アレックスは、支配的な性格で、頭の切れるビジネスウーマンだった妻が、自分達の計画を見抜いていて、死んだふりをしながらも実はうまく生き延びており、自分と恋人に報復を目論んでいるのでないかと考え始める。
ハイメ警部は、アレックスが妻を殺し、証拠隠滅のために死体を隠したのだと責める。
さて、誰の言葉が正しいのか。
見るものの頭の中に、はてなマークがいくつも浮かんでは消え、消えたと思ったらまた現れる。伏線の張り方もばっちりで、ラストもうまく決めた。
まだ一月なのに関わらず、おそらくこれは「2014年度私的映画ベスト10」 に入るであろう。もちろんジャンルを問わず、この映画の出来栄えを凌駕する作品がたくさん出てきたら嬉しい。
ミステリ映画ファンにはぜひお勧めしたい傑作。
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