FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

小説

そしてミランダを殺す/ピーター・スワンソン

『時計仕掛けの恋人』があまり琴線に触れなかったので、期待していなかったのだが、とても良かった。まだ三月だが、間違いなく2018年度ベストミステリの一冊である。三部構成の犯罪小説で、各所で読者を驚かせる爆弾が仕掛けられており、球技のボールにされ…

魔邸/三津田信三

『禍家』、『凶宅』に続く<家三部作>の掉尾。幼い少年が新たな環境、新たな家に足を踏み入れ、怪異と遭遇する(ミステリ要素もあり)という基本的な骨格は同じながら、先二作はやや毛色の違う印象を受け、「真に恐ろしいのは・・・・・・」と言いたくなるところが…

偽りのレベッカ/アンナ・スヌクストラ

いつも体調の悪い二月だが、ドット・ハチソン『蝶のいた庭』、そしてアンナ・スヌクストラ『偽りのレベッカ』、立て続けに傑作ミステリを読むことが出来て嬉しい。味わいはずいぶんと違う。 去年読んだジェイン・ハーパー『渇きと偽り』も秀逸なオーストラリ…

雪と毒杯/エリス・ピーターズ

「修道士カドフェル」シリーズの作者による本格ミステリ。修道士カドフェル」シリーズは物語としては面白いけれど、ミステリ部分が弱いのが不満だった。しかしノンシリーズであるこの作品は謎解きの醍醐味を読者に与えてくれる。 オペラ界の伝説的な歌姫が死…

きみはぼくの母が好きになるだろう/ネイオミ・A・ヒンツェ

奇妙な世界さん kimyo.blog50.fc2.com がtwitterで紹介をしていらしたゴシックサスペンス。ハヤカワ・ノヴェルズから1971年に出版された作品。青木久恵が翻訳しており、訳者あとがきによってアメリカにおけるゴシックロマンの人気に触れている。この分野の特…

みだれ絵双紙 金瓶梅/皆川博子

出版芸術社から出版された、日下三蔵編『皆川博子コレクション10 みだれ絵双紙 金瓶梅』に収録されているものを読んだ。生まれて初めて読んだ皆川博子の『金瓶梅』で、とても良かった。彼女の作品としては珍しく、肉の快楽の描写が多く、黒い艶笑譚の色合い…

琥珀の中の蜘蛛/丸地深雪

今年はありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。 自分で書いた小説をkindleで本にしました。丸地深雪という名義で『琥珀の中の蜘蛛』、上下巻で、上下巻ともに99円となります。大きな館を主な舞台としたゴシックサスペンス。よろしければAm…

霧の島のかがり火/メアリー・スチュアート

霧の島のかがり火 (論創海外ミステリ) 作者: メアリー・スチュアート,木村浩美 出版社/メーカー: 論創社 発売日: 2017/09/08 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 『霧の島のかがり火』は論争海外ミステリの中の一冊で、これは若い女性を主役とした…

死後結婚 サーフキョロン/岩井志麻子

ハードカバー版で読んだ。作中にも登場人物の台詞として出て来るが、帯の「死者の口には真珠を入れる。黄泉の道を行くとき口中で、仄白く照らしてくれるから」という文章が美しく、イメージ喚起力に富んでいる。 黄泉の漆黒の闇、生命を失ったためやや青みを…

嘘つきポールの夏休み/サビーン・ダラント

うん、正統派のイヤミスだ。 クズな主人公が一気に地獄に陥るわけではなく、少しずつ少しずつ追い詰められていく様子を見て取ることができる。 一言で言えば好色でエゴイストの主人公がバッドエンドを迎えるミステリだが、それでも一抹の清爽感があるのは、…

鏡の迷宮/E・O・キロヴィッツ

作者E・O・キロヴィッツはルーマニアのトランシルヴァニア出身(ドラキュラ伯爵、いやヴラッド・ツェペシュ……)。ミステリというジャンルでくくらなくとも、生まれて初めてルーマニア人が描いた小説を読んだ。そしてとても良かった。 2017度のベストミステリ…

月明かりの男/ヘレン・マクロイ

鳥飼否宇の解説は「ここ数年のヘレン・マクロイ人気には目を見張るものがある」と始まる。 ふと調べてみると、ベイジル・ウィリング博士シリーズの長編は全13作品のうち、実に12作品までが邦訳されている。残った作品『The Long Body』も2018年に刊行が予定…

草祭/恒川光太郎

いつかは読みたい作家の一人だった。「なにか手頃なホラー作品を」と例のごとく考えて手に取ったのだが、手頃などという予想をはるかに上回る傑作短編集だった。土の匂いや木の匂いが漂うがごとくであり、よどんだ水や黄昏刻の空気の感じまでが描き出されて…

完璧な家/B・A・パリス

サイコサスペンスにして、サンドリーヌ・コレット『ささやかな手記』やシェヴィー・スティーヴンス『扉は今も閉ざされて』のような監禁状態に置かれた人間の戦いを描いたミステリでもある。 豪邸で暮らす、完璧に幸せな夫婦……しかしそれは虚像であり、ハンサ…