実に久しぶり
PCが故障したため、久しぶり(約4年ぶり)に新しいものに変えた。新しいPCで描くこれが最初の文章。
奇想天外 21世紀版アンソロジー
『奇想天外 21世紀版アンソロジー』を購入し、ちびちび読んでいる。分厚い!
記事の一つ「ミステリ映画マイナス10」を見ていて楽しい。三津田信三が挙げているトニー・ウィリアムズ監督『悪夢の系譜/日記に閉ざされた連続殺人の謎』が「お屋敷」プラス「謎めいた手記」の出てくるゴシックスリラー映画で面白そうだ。DVDが出ないものだろうか。
アメリカン・ゴシック 偽りの一族
今年はミステリ運がついているようだ。とても面白いミステリ小説をたくさん読むことができたし、ミステリ映画、ミステリドラマにも良質のものを多く見ることができた。この『アメリカン・ゴシック 偽りの一族』もその一つ。
全12話、DVD6枚の続き物のミステリドラマである。
最初は濡れ場の過激さが売り物のドラマかと思っていたが、最後に近付けば近づくほどミステリとして興味が増していく。明らかになった犯人、そして犯人を示す随所に張られた伏線、伏線とはまったく気づかず、目で見て耳にも入れていたのに、気にも留めず流してしまったあれらこれらに「ああ」と言わされる。
オリオル・パウロ監督『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』も伏線の仕込みが良かった。
さて『アメリカン・ゴシック 偽りの一族』である。
アメリカ、ボストン。ボストンの富裕階層の人間を椅子に拘束して絞殺し、傍らにベルを置いて去る連続殺人鬼シルバーベルキラー(通称SBK)が人々を戦慄させていた。
14年後。名家ホーソーン家。コンクリート産業で財を成してきた彼らだが、父が倒れ、14年失踪していた長男が戻ってくる。そして父は死に、様々な理由からホーソーン家の人々はSBKが一家の誰かだったのではないかと疑われるようになり、また一家でも互いに互いを疑うようになる。
そしてお約束通り、SBK再来のような殺人事件が起きるのだ。
最後のあれはあってもなくてもいいが、満足度の高い作品。
死後結婚 サーフキョロン/岩井志麻子
ハードカバー版で読んだ。作中にも登場人物の台詞として出て来るが、帯の「死者の口には真珠を入れる。黄泉の道を行くとき口中で、仄白く照らしてくれるから」という文章が美しく、イメージ喚起力に富んでいる。
黄泉の漆黒の闇、生命を失ったためやや青みを帯びた死者の朱唇、その中で蛍火のごとくほのかに光を放つ真珠がふと目の先に浮かぶ。
日本・台湾合作ホラー、リンゴ・シエ監督『屍憶 SHIOKU』でも効果的に使われていた冥婚、その儀式を描いた恐怖小説である。
かの映画では舞台は台湾だったが、こちらは韓国でおそらく儀式も韓国風もなっている。
育ちのいい若い女性、京雨子(きょうこ)。彼女は知り合った在日韓国人の美女、沙羅から韓国行に誘われる。謎めいた自殺を遂げた内縁の沙羅の夫、江原との死後結婚を韓国で執り行いたい、それに立ち会ってくれと言われたのだ。
江原から沙羅がDVを受けていたと聞いていた京雨子は、死後とは言えその夫と正式に結婚したいと言われ奇妙な気もしたが、沙羅に憧れていたこともあり、承諾した。
その辺りから京雨子の周囲でも怪異が続き、生者と死者の境目があいまいになっていく。そして死後結婚を行うため女二人は韓国に旅立つが、それはさらなる恐怖、さらなる怪異との出会いも意味していた。
耽美とグロテスク、そして恐怖が入り混じった物語。作者お得意のエロスもある。